多村通算100号

多村仁外野手が、27号、28号と二打席連発で、プロ入り通算100本塁打を達成した。
正直、プロ入りする際、なぜ彼を取ったのか、分からなかった。当時の横浜高校は、斉藤(現巨人)、紀田(元横浜、西武)と、超高校級といわれる選手がいて、また、彼の後ろを打っていた矢野(現東北楽天)も打撃で非凡なものを見せていたこともあり、確かに肩に見るものはあったものの、そこまでの選手なのかという風に見ていた。
プロ入り後、97年に一軍の春季キャンプに抜擢されたあたりから、身体能力の高さを見せ、守りと時折見せる強打で一軍を勝ち取り、プロ初本塁打も放った。その頃は、数年後には脇役としてレギュラーをとってくれるくらいの期待へと変化した。
しかし、その後、怪我で丸々二シーズンを棒に振ってしまい、紆余曲折が始まってしまった。期待を受けて起用されると怪我をする悪循環が始まった。権藤さんには期待されていたように思ったが、森さんの頃は感情的な行き違いもあったように見えた。一方で、二軍では核の違いを見せ付けるような状況が続き、もどかしさも感じられた。
しかし、山下さんになってから、相変わらず怪我が多いものの、出場機会を得て、ほぼ3年で100本の大半を打ってしまった。こう見ると、100本は結構彼にとっても、周りの皆にとっても、波乱万丈だったのではないか、と思う。
ただ、私の好きな言葉、イチローだって、3年やってようやく一人前、と思ってやっているので、これから、彼がもっと力を発揮できるよう、この調子を継続していただきたい、と切に願う。