湘南開幕第二戦(千葉ロッテ):5-10

晴れ渡った一日、東京ドームか横須賀スタジアムか迷いましたが、出発直前にぴあでチケットを確認したところ、東京ドームは千円台で買えるチケットが全て売り切れ、最低三千円以上の指定席しか売っていなかったため、横須賀を選びました。ということで、今年初の横須賀スタジアム。昨年は工事中だった隣接地帯にあるマンションが完成していた他は、特に変わりなく、横浜と比べ何も変わっていないことにほっとしたやら拍子抜けしたやらという気持ちで入場しました。
午前中に所用があったため、到着した時は既に二回裏でした。入場してまず驚いたのが、スコアボードにあった「三番二塁福本」の表示。競争に野中が残っている、ということですが、彼も結構頑張っているのだな、というところが伺えたシーンでした。また、千葉ロッテの応援をしている集団がいたのですが、その後ろに「王皇桜翁 ロッテ」という弾幕。なんだろうと思ったら、一緒に観戦していた人曰く、「オウオウオウオウ、ロッテ」ではないのか、とのこと。脱力しました。また、千葉ロッテは、内、成瀬、早坂と、神奈川に縁のある選手が多く、複雑でした。
湘南の先発は秦裕二。三回表、走者一塁からの犠打処理の守備で、ダッシュ良くボールを取れたと思いきや、滑ってしりもちをついてしまいました。転ばなければ二塁封殺を狙えたのですが、ついていなかったのかどうかは分かりません。その後、青野に真ん中のストレートを左中間へ打った瞬間それと分かる本塁打を打たれてしまいます。まあ、投げてはいけないコースに投げてしまいました。打った青野の力強い打撃もお見事だったのですが。その後、内野安打が出て、更に大松に右翼線二塁打を浴び、一失点。右翼西崎のまずいクッション処理もあり、三塁まで行かれてしまいます。打った大松は、内角低めの難しいコースでしたが、うまく体の回転で処理してフェアとしました。その後、李が中堅、左翼、遊撃の丁度真ん中あたりにふらふらと打ち上げましたが、強風の中、遊撃藤田がよくボールを目で追いかけていて、取りました。大学で出続けていただけあってさすがに実戦で落ち着いて対処できていました。秦については、小さな自分のしりもちがきっかけでガタガタと崩れていったように見え、非常に残念でした。四年目ですが、二年目から続く迷いが解消されていないことが伺えました。
秦は三回で交代を命ぜられ、四回からは千葉。千葉も五回にはロッテ打線につかまり、二失点。走者二、三塁の場面で捕手から二塁への牽制を藤田が後逸して失点したところは、藤田の塁への入り方が少し気になりました。六回からは岡本登場。しかし全般的に球威がなく、七回の被本塁打を含む痛打を浴びていました。また、俊足盗塁王でしたが、走者早坂に対してノーマークのために三塁への盗塁を許したのもいただけないところでした。
攻撃では、まずは藤田。右前へのライナー性の安打、中前安打など、打撃センス、最低限のパワーはありそうでした。ただ、現在、野中、内川含め、一軍枠の争いという状況があり、なかなか大変なのかも知れません。ただ、一部報道で、若手に枠を与えるということなのですが、枠を投手限定とせず、藤田も含めて候補として欲しいかな、と思わせるものを感じました。ただ、まだ始まったばかり、藤田も怪我から復帰したばかりなので、焦らずに考え、暫くは二軍でフル出場で調整しつつ昇格チャンスを待つ形でも良いかも知れません。また、前述藤田を含め、もっと激しい一軍争いの渦中に放り込まれた福本にしても、三塁横を痛烈に抜く安打など、かなり振れています。これが一軍でもアピールできれば尚良いのですが。
本日初めて打席で見たのがルーキー齋藤俊雄。低いグリップ位置で、グリップのヒッチでタイミングを取り、フルスイング。振りはそんなに悪くなかったですが、プロの変化球や緩急に対応可能かは見てみたいものです。また、途中出場の桑原は、最後に打席が回ってきましたが、千葉ロッテ藤井のカーブにタイミングを狂わされていました。
そして、吉村については、凡打にしても内容が悪くなく上向き。圧巻だったのは八回の満塁本塁打。かなり強烈なライナーで、一瞬にして左翼フェンスを越えていきました。二軍では最早別格の打者の雰囲気があります。こういう感じを受けるのは、自分の実感としては多村以来の出来事です。本当に頑張って欲しいと願っています。
しかし、今日、これだけは書いておかねばならない嫌なシーンを見てしまったため、書いておきます。そして、その矛先は、残念ですが、吉村です。吉村が四球を選んで作った九回裏二死満塁の好機から、次の南が期待にこたえて左前安打を放ちます。しかし、打球の行方を注意深く見ていなかった吉村は二塁を少しオーバーラン。これに気づいた左翼手が二塁に送球して、吉村は憤死。試合が終わりました。ここで終わっていれば、吉村のボーンヘッドで、「これからもまだ吉村の成長のためには課題があるな」程度で終わったのですが、事件はそこから起こりました。
吉村が審判に抗議したのです。本人はかなり納得がいっていないようで、一度抗議し、終わったかと思いきや再度抗議を試みました。私が見ていた限りでは、吉村は多少オーバーランしており、タイミングは微妙だったかも知れないが、アウトと言われても仕方のない状況でした。勝負を大事にするのはプロとして必要な資質とは思いますが、このプレイに関しては、コーチ等も特に何も抗議していなかったし、恐らく誰が見てもアウトだったのではないかと思います。単に私見に過ぎませんが、その抗議の仕方が、自分のミスを他に責任転嫁するようなやり方に見えて残念でした。ミスをしたのは吉村選手の責任であり、それはまだ若いのですから、今後同じようなミスをしないようにすれば良いだけのはずです。
また、彼の守備にしても、下手なのは仕方ないと思いますが、なにやら消極的に見える場面が多々ありました。三遊間、遊撃が追いついても内野安打になりそうなコースヒット性の当たりに対して、簡単に追うのを諦める。正面のゴロに対して腰が引けている。三塁戦のバントに対して処理して送球するのか見送るのか態度を決めずに追い、最後までボールを見ておらずボールをはじく(ファウルだったので事なきを得ましたが)、など、単に下手では済まされない類のプレイを連発していました。グラウンドに立っている限り、全てにおいて気を抜かずにやらないと、一軍選手として大成は望めないと思います。吉村選手は、打撃と、野球に対する姿勢は大成できるものを持っていると思っただけに、このようなプレイを見せられたのが残念でなりません。今後、更に前向きな態度で取り組んで欲しいと切に願っています。